「ー」
「何ー?総悟」
キミと2人世界の真ん中で
「今日が何の日か、わかりますよねィ?」
「何だっけーこどもの日?副長の誕生日?」
「それは先月お祝いしやした。
つーか同じでしょう。」
そっかー、と間延びした口調では他の答えを探す。
「何だったかなー、近藤さんの誕生日?それとも退君?」
「……の記念日は誕生日だけなんですかィ?」
些か呆れた口調でそう言うと、暫く間が空いてから、のっそりとが体を起こした。
「ギブアップ。答え教えて。
代わりに副長の隠し撮り写真あげるから。」
言うなりはどこからともなく数枚の写真を撮りだして、目の前でひらひらさせる。
「んー……しかたありやせんねィ。教えやしょう。」
を手招きして、総悟はこっそり耳打ちする。
『が、俺に好きだって言ってくれた日でさァ』
すると、は突然立ち上がって、くるりとこちらに振り向いた。
「それなら……私も同じ。
今日は、総悟が私に好きって言ってくれた日。」
ふわりと暖かい笑顔で言うにつられて、思わず頬の筋肉が緩む。
暖かい日差しの下、数年前の出来事を思い出す。
「総悟が好きなの、」
「…………」
「答えて貰えなくても良いの。
ただ………気持ちだけ知っていて欲しかった………」
そう言ってはその日一日姿を見せなかった。
思わぬ告白
隠せない想い
何処に出もいるような女性で、ただ女中として働きに来ていた彼女を――を、
いつの間にかこんなにも愛していた。
何となく感づいてはいた。
けど、それを認めたくない自分がいた。
仕事――組のこともあるし、恐らく、まだ病を患っているであろう姉のことも放っておけない。
何より、自分は武士としてまだまだ未熟だ
そんな自分が、誰かを愛してそばに置きたいと思うなんて浅ましい。
そう思っていたからだ。
けれど、あの時のの哀しげな表情が、言葉が、自分の中に眠る思いを寄り確実なモノへと変えていって………
その日の夜中に、庭で一人佇むを見つけられたのは本当に幸運だったのかもしれない。
「、」
「……総悟………」
「俺も、が好きでさァ。」
「………」
「傍にいて欲しいと言ったら、迷惑ですかィ?」
そう言った俺に、はにかみながら首を横に振ったの表情は今でも鮮明に思い出せる。
あれから、何年経っただろうか。
「、」
ゆっくりと立ち上がり、目の前に立つを抱きしめる。
「気の利いたモノは用意できやせんが………
代わりに、約束しまさァ。」
「……?」
「一生、の傍にいて、を護る。
……刀でも何でもない、今、のためだけに誓いまさァ。」
「それじゃあ、私も約束する。
ずっと総悟の傍にいるよ。総悟の傍にいて、総悟が少しでも安らげるように。
そうやって、私なりに総悟を護ってみせる。
………総悟のためだけに、誓うよ。」
江戸の一角、小さな世界
キミと2人だけの世界で交わした確かな約束
永遠に消えないキズナ
――――――――――――――――――――――――――――――――
あとがき
何気に初書き沖田くん。口調がムチャクチャ……;;
オレンジレンジのキズナを聞きながら書いてみました。
何気に腹黒キャラっぽく、土方さんの盗撮。
目には目を、腹黒には腹黒を(笑
2006 09 18 水無月