Web拍手お礼夢小説  「桜 
Cherry blossoms」   (リリカルなのは/ザフィーラ)




       「あら――貴方もお花見?」
       主や他の守護騎士達が眠りに就いたのを確認し、何気なくベランダへと足を運ぶ。
       すると、あまり広くはないベランダの片隅から、凛とした声が届いた。
       「……」
       「つれないなぁ。警戒しなくても良いのに。」
       「……警戒しているわけではない。」
       「そう。……まぁ、こっちへきたら?できれば真の姿で。」
       振り向き、綺麗に笑んでみせる。
       出会ってから数日経つが……まだこの女性が、主・八神はやての実姉だとは信じがたい
       「……知っているのか」
       自分のことを、とは言外に伝わったようで、まぁね。と答えが返ってくる。
       「これでも魔導士……と読んで貰えるかわからないけど、修行はしたから。」
       そう言って困ったように笑う。
       未だに不明な点の多い女だが……何故か同時に信頼できるものがあり、静かに正体を現す。
       「へぇ……カッコイイのね。」
       「からかうのは控えていただきたい。」
       「いーえ。本気です。
       ………とても素敵だと思うわ。」
       「……褒め言葉として受け取っておく。」
       「そうでなくても褒めてるのに。
       ……まぁいいや。とりあえず、こっちにきたら?」
       手招きする仕草が何処か主はやてに似ている。
       招かれるままに隣に立つと、彼女は意外に小柄だった。
       ――このまま、腕の中に閉じこめれそうなほどに
       「――ザフィーラ?」
       名を呼ばれ、ハッと我に返る。
       「どうかしたのか」
       「それはこっちのセリフ。……私の顔に、何か付いていた?」
       「……いいや、そう言ったわけではない。」
       「そう?……なら良いけれど。」
       納得したように頷き、彼女は再びベランダの外へ目をやる。
       「綺麗ね……」
       彼女の視線の先には、一本の木があった。
        薄紅色の花びらが、月明かりを反射して夜の闇に浮かび上がっている。
       「素敵でしょう?夜桜って言うのもオツだと思わない?」
       ゆるりと微笑み、ちいさなグラスを掲げる仕草がその景色によく似合っている。
       思わず見とれてしまうほどだった。


       「――こんな素敵な夜には……素敵な男性が付き物よね?」
       ふいに問いかけられる。
       恐らく――自分のことを指しているのだろう
       「私は――人間ではない」
       「そりゃあね。わかってるよ。」
       「ならば……「でも、私には関係ないし、何とも思わない。」
       断言され、返す言葉を失っていると、彼女はそっと寄添ってきた。

       「今は……貴方のそばにいたい気分なの。」
       
       どう対処すればいいのかわからなかったが、不思議と心地よい気分だった。
       ――夜桜に惑わされたか
       そう自分に言い聞かせ、静かに彼女を腕に抱いた。



       はやての姉で魔導士という設定です。年齢は……ご想像で(笑

       拍手有難うございました!
       返事が必要な方は、コメントの最後に(返)といれてください。後日ブログにて