Web拍手お礼夢小説  「桜 
Cherry blossoms」   (最遊記/悟浄)




       「お花見したいなぁ」
       旅の途中、道の悪い岩場のど真ん中で彼女はぼんやりと呟いた。
       「花見だぁ?」
       問い返すと、何処か夢現のような表情でうん、と頷く。
       「馬鹿かテメェは。この景色を見てそんなこと言うヤツが何処にいる。」
       「三蔵の後ろに乗ってる。」
       「ぶっとばすぞ」
       「まぁまぁ三蔵。
       ――それより、どうしてお花見を?」
       日頃から、どんな悪天候、悪条件の中でも文句を言わない。
       そんな彼女が初めて我が侭……と言うよりは、自分の要望を口にした。
       「何となく。夢でサクラを見たから。」
       「夢、ですか?」
       突拍子もない答えに、思わず脱力した。
       「ん〜〜……」
       それでも緩まないアクセルに身体を揺らしつつ、記憶を辿るように頬杖を付く。
       そんな仕草がどこか大人びていて、綺麗だ。
       「よく憶えてないけど……誰かを待ってるの」
       「待つ?」
       「そう。多分……私にとって大切な人。
       その人を待ってる時間がとても楽しくてね……
       辺りには誰もいないけど、サクラがひらひら舞ってるの。」
       
       “私にとって大切な人”

       その言葉に、誰だか知らないヤツを想像して、チ、と舌打ちする。

       「ロマンチックですねぇ。」
       「でしょう?」
       前と隣で交される会話に、思わずその相手が八戒じゃないのかと思うが、
       そんなことを口に出したらどんな目に遭うか………
       考えるだけでも恐ろしい。

       「ひらひら落ちるのがさ、まるで桃色の雪みたいに綺麗なの。それでね……」
       だが、楽しそうに話すその笑顔に免じて、考えるのは止めにしておこう。
       「――なら、花見するか?」
       代わりにそう問いかけると、一瞬きょとんとしてまた笑う。
       その笑顔は、年寄り幼く見えて可愛い。
       「そうだね。じゃあさ、このたびが終わって、世界が平和になったら……
       みんなでお花見しに行こ?」
       「いいですねぇ。」
       「さんせー!」
       「賛成多数だ。どうする?三蔵サマ」
       助手席で黙り込む金髪法師にからかうようにふっかけると、「……ふん」と、一応賛成ととれる答えが返ってきた。
       「決まりだな」
       「みたいだね。」
       互いに目配せし、にやりと笑う。
       「じゃ、決まりね。
       このたびが終わったらみんなでお花見!
       約束だからね!!」
       
       楽しげに笑う彼女の笑顔に、サクラが重なってみられる。
       子供同士のようなこの約束が近い未来であることを柄にもなく祈り、ジープの背に身を預けた。



       殆どALLですねぇ(笑 きっと楽しいお花見になると思いますよ。

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