Web拍手お礼夢小説 「雨の日 ―someday in the rain―」 (ハルヒ/古泉)
「そろそろ私達も帰るよ。ハルヒは戸締まり?」
「そう。このバカが起きるまで待たなきゃいけないから。」
冬の日没は早い。
SOS団の部室……もとい文芸部室では、いつものように穏やかな活動(?)が行われていた。
それは、日が暮れて殆どの生徒が下校をはじめるころに漸く終わろうとしていて、
片づけやら何やらが終わる頃にはすっかり辺りは闇に包まれていた。
「そっか。じゃあ先に帰るね。」
ついでに、あぁでも、と思いついたことを述べる。
「みくるちゃんのコスプレ、今度良いもの持ってくるよ。」
「どんなの?」
「それは見てからのお楽しみ。
――っと、こんなのキョンに聞かれたらまた文句言われるね。
後で連絡するよ。」
携帯を使う動作を示せば、ハルヒは「まぁ、寝てるけどね。」とキョンを指しながらも、悪戯げに頷いた。
「じゃあね。――行こうか、有希。」
入り口で留まっていた友人を促し、部室を後にする。
「あちゃー……」
昇降口に立ちつくし、思わずぼやく。
真っ暗な空から降り注ぐ冷たい水滴。
「今日降るなんて言ってたっけ?」
隣に立つ友人は無言で何の反応も示さず、鞄の中から折り畳みの傘を取りだした。
「さすが有希。……けど、二本は持ってないよね?」
困ったように訊ねてみると、有希は淡々と首を横に振った。
「そっか。
――もしかして、今日雨が降るって知ってた?」
訊ねてみると、今度は首を縦に振った。
「さすが、えーと……有機生命体………」
彼女の職業、というか正体の名称を口にしてみる。
けれど長すぎて思い出せない。
「――まぁいいや。」
それでも、大して気にはならない。
有希は有希。そう割り切っているから。
「有希。私のことは気にしなくていいからさ、先帰りなよ。」
折角傘を持っているのに、こんな無駄に時間を使わせるわけにもいかない。
「大丈夫。きっとその内やむと思うし。」
ね?と(キョン曰く)液体ヘリウムのような瞳に言い聞かせる。
「――この雨雲は現在都市部から数キロに渡って広がっている。
約8時間は天候が変わることはない。」
淡々とした口調であっさり提案を切り捨てられる。
「そっか。」
でももう慣れてしまった。
「けど、有希は傘持ってるんだし先に帰るべきだよ。」
もう一度言うと、有希は正面に向き直って一言。
「そう」
そして、一歩踏み出す。
「あなたがそう言うのなら。」
そのまま振り向かず有希はまっすぐ校門を出ていった。
「さて――どうしよっかな。」
有希の背中が見えなくなるまで見送って、独り言ちる。
「走ってける距離でもないしなぁ……」
はぁ、とため息をつく。
「さぶっ……中入ってよう……」
襲ってきた寒気に身を竦め、後者の中へと避難する。
「――あれ?」
すると、下駄箱に見知った影を見つけた。
「古泉君、」
歩み寄って声をかけると、どうも、と穏やかな笑顔が返ってきた。
「先に帰ったんじゃなかったの?」
「撮影の後片付けに少し手間取ってしまいまして。」
「みくるちゃんの衣装とか?」
「そんなところです。」
たしか、キョンがいない間みくるちゃんの(コスプレ)写真撮影をやっていた。
「ご苦労様、古泉君。」
制服に付いていた埃を払いながら労いの言葉をかける。
「ところで、貴方は何をしているんですか?」
「傘を忘れちゃって。どうやって帰ろうか思案中。」
困ったように笑うと、目の前にす、と黒い傘が差し出された。
「僕は傘を持っています。よければ一緒に帰りませんか?」
穏やかな笑顔に断る言葉を忘れてしまった。
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拍手お礼3人目は「涼宮ハルヒの憂鬱」より古泉一樹君で。
何故か憎めないキャラ。きっと頭脳明晰です。
密かにキョンとのコンビネーションは最高だったりして(笑
ちなみにヒロインは、自称「有希の親友」他称「ハルヒの悪友」です。