Web拍手お礼夢小説  「押し倒しりーず(笑」   (D.Gray-man/リーバー・ウェンハム)


「リーバー、ちょっと」
「どうした?」
「これ、」
一番下の段にある、ひときわ分厚いファイルを指差す。
「抜けないの。手伝って」
「どれ……」
ぐ、と細長い指がファイルにかかる。
その様子を斜め後ろから眺めながら、もっと設備を充実させろ、と内心愚痴ってみる。
「ホントだ。なかなか抜けねぇな」
手を振りながらリーバーが困ったように零す。
「無理?」
「……いや、大丈夫だ。多分」
「多分って……」
「とりあえず、ちょっと下がってろ」

それから格闘すること数分。
小刻みにファイルを動かしながら、ようやく分厚い革表紙が抜け出した。
「ほらよ」
「ありがと、リーバー」
ずっしりと重いファイルが腕にのしかかる。
「重っ!」
ある程度予想はできたけれど、重たかった。
「私は戦闘担当だし鍛えてるからともかく……
これ、普通の女の子だったらどうする気だったのよ室長は……」
「まぁそう言ってやるなって。今はどこも人手不足なんだしな」
言いながらリーバーはまた分厚いファイルを抜き出す。
「まったく……」
ぼやきながら、次のファイルを探す。
と、その時、背後でミシッ、と嫌な音がした。
「……え?」
恐る恐る振り向くと、黒い影はもうすぐそこまで迫ってきていて、
「危ねぇ!」
リーバーが叫んだ直後、重い音を立てて本棚が崩れ落ちた。


「ったぁ……」
ケホ、と埃に咳き込みながら、そっと瞼を持ち上げる。
「何なのよ、もう……」
辺りは一面本が散らばっており、本棚は、ギリギリのところで壁に突っかかって止まっていた。
「大丈夫か?!」
気のせいか、耳元で焦ったような声が聞こえる。
「リーバー?」
声のするほうへ顔を向けると、すぐ真横にやや疲れた顔。
耳元で声が聞こえたのは、気のせいではなかった。
思わず顔が熱くなる。
よくよく見てみると、リーバーは自分を庇うように覆い被さっていた。
「おい、大丈夫か?」
返事がないのが気になったのか、もう一度訊かれる。
「う、うん。怪我はない」
全身は鈍く痛むが、庇われたおかげか、怪我はまったくない。
「それならいいが……」
「リーバーは?」
意識してしまい、声が上ずる。
「大丈夫だ。心配すんな」
「そう……でも、どうしよう?」
「派手に倒れたし、誰か気づくだろ
悪ぃけど、もう少し我慢してくれ」
「あ……うん」
言葉のとおり、足音が近づいてくる。
過ぎ行く時間が少しだけ早く感じた。

――もう少しだけ、このままで