Web拍手お礼夢小説 「手をつなぐ」 (戦国BASARA/片倉小十郎)
ふと気が付くと、床の間に横たわっていた
「……?」
どうしてこんな所で横になっているのだろう、と疑問に思うが、原因はすぐにわかった
全身がだるい。頭も痛いし、熱っぽい感じもする
「……ここは……」
徐々に意識がはっきりしてきて、ぼんやりと天井が視界に入ってきた
五感をすませると、聞き慣れた騒がしい声が、嗅ぎ慣れた古い匂いが感じられる
自分の部屋であることに安堵し、ゆっくりと体を起こす
「――起きていたのか」
声のした方を向くと、暗色の着物を着流した男が立っていた
「片倉様……」
「少しは良くなったみてぇだな」
「私……どうして……?」
「覚えてねぇのか?」
逆に訊ねられ、今朝から何があったのか思い返す
筆頭と片倉様の朝稽古を見ていたら、筆頭に相手をするよう言われて、片倉様と交替した
だが、思うように力が出ず、一度顔を洗いに行って……
思えば、今日は起きたときから体がだるかったような気がする
「……私、どうしてました?」
「洗面所で倒れてた。戻るのが遅いから見に行ってみれば……」
ったく、と呆れたように溜息をつかれる
「具合が悪いのなら初めからそう言え」
「すみません。ご迷惑を……」
言いかけて、はっと思い出す
「あっ……筆頭にお詫びをしてこないと……」
立ち上がろうと肘をつくが、力が入らず崩れてしまう
「おい!」
崩れかけた体が抱き留められる
先ほどの呆れたような表情が一変。焦った声だった。
「まだ治ってねぇんだ。無理するんじゃねぇ」
「ですが……」
「政宗様には説明してある。だからお前は大人しく寝てろ」
いいな?と布団の上に戻される
「顔色は良くなったな……熱は、」
不意に、大きな手のひらが額に触れる
「熱はまだ少しあるな……他に具合悪いところはあるか?」
「大丈夫、です。……ありがとうございます、片倉様」
「礼を言うのは治してからにしろ」
熱を計っていた手が、くしゃりと前髪を撫でる
くすぐったくて目を細めると、片倉様も微かに笑みを浮かべた
「さてと……何か欲しいものあるか?」
きちんと布団を整え、改めて片倉様が訊ねてきた
「いえ、特に……――あ、」
言いかけて、ふと思いつく
「あの……一つだけ、いいですか?」
「何だ?」
「手……握っててください」
一瞬だけ、驚いたような表情
「……そんなことでいいのか?」
布団の下から伸ばした手が、そっと包み込まれる
優しい温度に、心がほっとする
「いいんです。
こうしておけば……起きたとき、すぐに片倉様にお礼が言えますから
きゅ、と軽く握った指先が、答えるように優しく握り返される
「……お休みなさい。片倉様」
意識を手放す直前、片倉様が穏やかに微笑んだ気がした