Web拍手お礼夢小説 「手をつなぐ」 (戦国BASARA/猿飛佐助)
「はーい、カップル一組ごあんなーい!」
はつらつとした感じの女生徒に、二つに分かれた入り口の一つを示される
「カップルって……」
「いいんじゃね?こっちの方が面白そうだし」
行こうぜ、と佐助が手を掴んで中に入っていく
「……ま、いっか」
いくつもの視線を背中に感じつつ、扉をくぐった
「うわ、暗……」
扉が閉められて背後の光がなくなると、一瞬何も見えなくなった
「こりゃ本格的だな」
「うん……ってか通路せまっ」
「それは仕方ないだろ。限界ってもんがあるさ」
わかってるよ、と呟き、佐助の背中を見失わないようにすぐ後ろについて歩く
「きゃぁっ?!」
通路の影から突然腕を捕まれ、思わず目の前の佐助のシャツを掴んだ
「おいおい、大丈夫か?」
「い、いちおー……」
はー、と深呼吸し、掴んだままのシャツを離す
「また変なところでいきなり驚くよな。お前ってさ」
「だって、あからさまに出てきますーってところでいちいち驚かないよ
さっきのは突然だったし……」
「そう言う出し物なんだから、警戒して歩けって」
「してる……けど、佐助がいるからつい安心しちゃうっていうか……」
言ってみて、なんか恥ずかしい言葉だと気づく
「とにかく、さっさと出るよ」
「はいはい」
二度目は立ち止まってしまったが、三度目四度目はさすがになれてきた
「っと――あれ?」
壁から出てきたお化けが引っ込んだ後、足下で何かが光った
「何だろ?」
屈んで拾い上げる
それは指輪だった。飾りっけのない、銀の指輪
「落とし物かな?出たら届けようか、佐助」
手のひらに指輪をのせ、くるりと振り返る
「……佐助?」
しかし、そこに彼はいなかった
「佐助?どこ?」
自分の声が響くだけで、返事は帰ってこない
「先行ったのかな……追いかけなきゃ」
辺りを確認しつつ、早歩きで進む
「佐助!佐助ー!」
呼んでも返事はなく、自分の声だけが反響した
「やだ……佐助、佐助っ「何やってんだ!!」
突然腕を掴まれ、そのまま引っ張られる
「っ――!」
思わず身を竦めて目をぎゅっと瞑ると、広い胸に抱きしめられた
「ったく……何やってんだ、お前」
呆れたような、でも心配そうな声
「佐、助……?」
「勝手にいなくなるなって……」
あー心配した、と佐助は大げさに溜息をつく
「ごめん、私、佐助に置いてかれたと思って……」
「お前を置いていくワケないだろ」
ぎゅ、と腕に力を込められる
――とても暖かくて、心の底から安心した
「さてと……さっさと出ようぜ。立てるか?」
ぐい、と引っ張り上げられる。
手を握ったまま、佐助は歩き出した
「ねえ、佐助……」
「どうした?」
「手、離さないでね」
ぎゅ、と今度は自分から強く握る
「言われなくても。離すつもりなんてないって」