「んん……」
目が覚めると、あたりは白一色だった
「ここは……「気がついたのか」
被った声に顔を向けてみると、
「……瀬人……」
出張だったのか、スーツ姿の瀬人が立っていた
「私……どれくらい寝てた?」
「4日だ」
「そう……迷惑かけたね」
「まったくだ。……だが、」
話しながら、瀬人は静かに歩み寄る
「俺はお前の行動をとがめられるほどの人間ではない」
「――そういえば、あの子は?大事なかったの?」
がば、と勢いよく起きあがると、全身が酷く痛んだ
「――、っ」
「無理をするな」
そう、と両肩を支えられる
「あの子供は無事だ。左腕にかすり傷を負っただけだと聞いた」
「よかった……」
ほう、と胸をなで下ろす
「あんなに嬉しそうにカード買っていたのに、事故で入院なんてかわいそうだもの」
「ふ……お前らしいな」
呆れたような、でもどこか穏やかな表情
「とにかく、今は安静にしていろ
医者に聞いてきたが、2週間もすれば退院できるそうだ」
さらりとの髪をなで、そっと体を横たえてやる
「ん……ありがと」
「何か必要なものはあるか?」
「とりあえずノートパソコンと新しいファイル、着替え……くらいかな」
「わかった。後で持ってこさせる」
「あ、あと……」
「何だ?」
「……手、握ってほしい」
す、と控えめに差し出された手
瀬人は少しかがんで、その手を包み込むように握った
「……瀬人の手、綺麗だよね。ホント」
「何だ、突然」
「素直な感想」
くすりとは笑う
「細長くて、大きくて……カードやってるからとか?」
おどけたように言ってはもう一度笑みをこぼす
「握って貰ってると……すごく落ち着く。ありがとう」
そういってはにかんだが夢の中に落ちるまで、瀬人はその手を握っていた