「あれ、遊戯も屋上でお昼?」
声をかけると、フェンス越しに外を眺めていた遊戯が振り向いた
「ああ。今食べ終わったところだ」
「そっか。
――あ、これから何か用事ある?」
「いや。何かあったのか?」
「大したことじゃないんだけど……ちょっと付き合ってほしいんだ」
ダメかな?と首を傾げると、遊戯は薄く微笑んで、
「いいぜ。こっちこいよ」
を手招きした
「よかったー」
はピンクの巾着を手に、小走りでよってくる
「放課後は掃除あるし、今くらいしかできる時間ないんだよね」
弁当と一緒に、辞書ほどの大きさの箱を取り出す
「カードか?」
「うん。最近どーも詰まっちゃって
一度デッキを組み直すことにしたの」
「そうか。俺に協力できることがあったら言ってくれ」
「ありがとう。でもいいや」
は首を横に振り、そう答える
「自分一人で組まないとおもしろくないし……
だから、そのかわりに、」
言いながら、はくるりと背を向ける
「後ろにいて」
「何故だ?」
「見られたら困るけど……傍にいてほしいと思うんだ
遊戯がいると、良いデッキが組めそうな気がするの」
「……わかった」
遊戯が頷くと、は腰を下ろし、弁当をあけながら
「ほら、遊戯も座りなよ」
自分の後ろへ遊戯を手招きした
「この辺で良いか?」
「あー、うん」
そうして遊戯が後ろに座ったのを確認し、
「よいしょと」
はぴたりとその背中に、自分の背中をあわせた
「?!」
「あ、気にしないで」
「いや、そうはいっても……」
「遊戯の背中、安心するんだ。
あったかくて、自分の心に素直になれる気がする
……迷惑かな?」
「……がそういうなら、」
そういって、遊戯はの背中を受け止める
「――ね、遊戯。組み終わったら一番最初に相手してくれる?」
「デュエルの相手ならいつだって良いぜ」
「ありがと。
よーし、今度こそ遊戯に勝つんだから!」
「あぁ。望むところだ!」